
フリーメーソンの起源について、中世のギルド、古代ローマ帝国の職人組合、聖堂騎士団、ユダヤ教エッセネ派、モーゼの兄アロン、薔薇十字団、ヒラム・アビフなど様々な説あり、結論から言うと、どれも間違いではないが正しいとも言えない。
『旧約聖書』では、ヒラム・アビフはイスラエル10支族のナフタリ族だとされている。
メーソンの伝承によると、ソロモンの神殿建設の最高責任者として神殿を完成させ、ソロモン王が不在の時はヒラム・アビフが代理人として、ソロモン王と同等の権威が与えられたという。
ヒラム伝説によれば、ヒラムは3人の職人に殺害されて山中に埋められた。
ソロモン王は、行方不明となったヒラムを捜索すべく、12人の職人を派遣してヒラムの遺体を発見したが、死後14日目にして腐敗がなく、「ライオンの握手法」によって蘇生したという。
メーソンでは、親方位階の参入儀礼の際にヒラムの殺害と復活の儀式が行われ、陰謀論者はこれを怪しい黒魔術の儀式だと主張する。
だが、この儀式の真意は、聖劇によってヒラムの死と再生を追体験することにより、従来の自己と決別し、神化した新たな生命体として自己変容を遂げることを示しているのだ。
これはイエス・キリストの死と復活の予型にもなっており、人類がこれから体験することのリハーサルでもある。
ソロモンの神殿は、カッバーラによって設計された「生命の樹」の象徴である。
「生命の樹」は世界を表し、ソロモンの神殿は世界の雛型なのだ。
そのソロモンの神殿の再建と、世界共和国の建設がメーソンの最終目的であり、反キリストの野望と一致する為に、反キリスト勢力にメーソンが利用されてきたともいえる。
しかしメーソンの目的は、あくまでも「絶対神の王国の建設」である。
メーソンの教義では、宇宙を設計・建設した絶対神こそが「フリーメーソンの大王」であり、エデンの園に石壇を造った「アダム」が人類最初のメーソンで、アダムとイブの相互扶助が友愛の精神の源流だとされている。
アダム、セト、エノシュ、ケナン、マハラルエル、イエレド、エノク、メトシェラ、ノアという、聖書の預言者の系譜が、真のフリーメーソン「アダムメーソン」なのだ。
メーソンは宇宙創造神を 「宇宙の偉大なる建設者」と呼び、コンパスと直角定規をシンボルマークとしているが、絶対神「ヤハウェ」がコンパスで星を描いている絵が存在する。
象徴として、「イエス・キリスト」は「ヤハウェ」の受肉であり、イエスがフリーメーソンであることを象徴するかのように大工(建築家)の息子として生まれてきた。
そしてイエスは、実際にヒラムの死と復活を体現したのである。
コンパスと直角定規は建築道具の象徴だが、コンパスは「道徳」、直角定規は「真理」を表し、上向き三角形(コンパス)と下向き三角形(直角定規)の結合によってヘキサグラム(ダビデの星)を形成し、万物万象のニ元性の融合を表現している。
さて、メーソンの本質を知る為には、超古代にまで遡る必要がある。
アダムメーソンの流れで、箱舟を建設したノアが、大洪水後の最初のメーソンとなった。
そして、ノアの3人の息子「ヤフェト」「セム」「ハム」から、3つのメーソンの流れが誕生した。
それが、「ヤフェトメーソン」「セムメーソン」「ハムメーソン」である。
この3つのフリーメーソンの流れについては、飛鳥昭雄氏と三神たける氏の共著『大ピラミッドの謎とスフィンクス』に詳しいが、更に深くメスを入れてみたい。